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2019.12.04

お知らせ

店長ブログ vol.10 祖谷そば

あ、店長のオオガケです。

 

すっかり寒くなりましたね。朝、店から山を見上げると、白い霧に包まれて、その姿が見えない日があります。こういう日は、山の上のほうにある家からは、きっと雲海が見えるのでしょうね。

 

寒い日は、温かいそばやうどんが恋しくなります。三好の郷土料理に、祖谷そばというものがあります。

祖谷は、真鍋屋がある池田町から車で山へ入り1時間以上かかる、まさに秘境。平家の落人伝説もあり、観光名所として「かずら橋」も有名です。

東洋文化研究者のアレックス・カーが居住し、古民家を宿泊施設として再生する事業などを手掛けたこともあり、海外からも注目されています。一般社団法人そらの郷など、インバウンド誘致への積極的な取り組みにより、、外国人観光客の数は、2007年からおよそ10年で約30倍にも増えている地域なのです。

 

そんな地名を冠した、祖谷そば。祖谷は、日本三大秘境のひとつにもなっているとおり、山が険しく稲作には向きません。逆に、昼と夜の寒暖差が大きく、蕎麦の栽培に適していているのです。この祖谷で栽培された蕎麦を使い、つなぎを加えない蕎麦粉十割で手打ちにしたそばが、祖谷そばです。

大歩危や祖谷の観光地では、この祖谷そばが食べられるお店があります。

こちらの写真は、大歩危駅近くにある『歩危マート』で食べた祖谷そばです。

少し太めの麺で、つなぎを使用しないため、ぶつぶつと切れやすいのが特徴。だしは、昆布とイリコが中心でしょうか、あっさりとした味わい。全体的に、素朴な味わいで、いわゆる江戸前のそばとは違う趣きが楽しめます。

 

個人的には、この切れ切れになったそばこそが祖谷そばの魅力だと思います。そばをすするのではなく、だしと一緒にかっこむようにして食べる。そして、口の中でそばを噛むほどに、蕎麦の風味とだしの味わいが一体になっていきます。

祖谷そばは、お土産としても売られていますが、そちらは、しっかりつながっているものが多いようで、僕が思う祖谷そばの醍醐味は味わえないかもしれません。やはり、郷土料理は現地で食べてこそ、その魅力を堪能できるというもの。ぜひ、一度、食べてみてください。

 

 

ミンデキッチンでも、イベントに合わせて、不定期ながら祖谷そばを提供しています。その際には、『つづき商店』の祖谷そばを使わせていただいています。だしは、昆布とイリコ。すっきりと飲み干せる味わいを目指していますので、太く短いそばと一緒にかっこむように召し上がってください。

 

ここからは余談。

僕は関東出身なもので、そばと言えば、醤油色の強いだしが好み。奈良へ移住したころには、立ち食いそばのだしがうどんだしのように澄んでいたのには驚いて、なおかつ馴染めなかったものです。奈良でも、徳島でも、さほど食に困ることはありませんが、そばだけは江戸前の味が恋しくなることがあります。

 

で、東京でよく食べていた立ち食いそばメニューといえば、コロッケそば。これ、関西には意外とない。そして、どちらかといえば、人気がない。でも、旨いんです。揚げ物ゆえに、時間が経つとだしが染みてしまいますから、軽くそばをすすった後、早めにひと口、二口齧ります。その後は、ご想像に難くなく、コロッケの中身が崩れていきます。これがいいんです。後半は、衣も中身もぐちゃぐちゃにして、そばとだしと一緒にかっこみます。もちろん、そのまま最後まで飲み干して、ごちそうさま。

 

で、何が言いたいかというと。祖谷そばこそ、コロッケそばに適したそばではないかと、思うところなのです。だしの中で崩れていくコロッケと、切れ切れになった祖谷そばが一体化して、だしと一緒にかっこむ。むしろ、長いそばよりも、その一体感は増すことでしょう。しかも、そのコロッケを同じ祖谷の名産でもある『ごうしいも』で作ったりしたら、新たな郷土料理になるのでは。。。と思ったりする今日この頃なのでした。

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